【Triangler/サンプル】
小説22p+漫画12pを1冊にまとめております。ちなみに、どちらも神原が書いておりますよ〜。
小説「千の夜を越えて」は切ないすれ違い、漫画「バレンタイン・キッス」はラブラブバカップルですv
※漫画のサンプルは1番下にあります。
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千の夜を越えて サンプル
※サンプルですので一部分を抜粋して掲載しています。
多少改行などで違う部分はありますが、内容は同じです。
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「お帰りなさい、シロウ」
「……っ ただいま、セイバー」
思わず見蕩れてしまって反応が遅れたが、温かく迎えてくれる存在にふわりと表情を緩める。
「今日はリンが夕食を作っています。間もなく出来上がるそうですので」
「わかった」
着替えようと自室に戻る為踵を返すと、台所で凛が調理をしているのだが、その横にはアーチャーがいて、
何やら彼女にアレコレと指図されて手伝わされているらしい。
その視線に気付いたのか、アーチャーがこちらに振り向く。
「おかえり」
「あら士郎、お帰りなさい。……ちょっと、余所見しない!!」
「私がそのような失敗をするとでも?」
「口答えしない!!至近距離でガンド喰らわせるわよ」
挨拶もそこそこに調理に戻ってしまう二人。
『遠坂凛』という存在に逆らえないのは、やはりアーチャーも一緒なんだなと思うと、
何やらおかしさがこみ上げてきて、クスクスと笑いながら士郎は自室に向かい着替えを済ませて戻って来る。
ソワソワと完成を待ちわびるセイバーに和まされながらの向かいに座り、同じように台所の二人を眺める。
息の合った動きで、お互い何かと言い合いながらも楽しそうにしている。
特にアーチャーは士郎に向かう時のものとは違う、
幾分砕けた表情を浮かべていて、さすが元主従だなと感心する裏で、ギュッと胸を締め付けるものがある。
――またか、と思う。
凛とアーチャーを見ると、時々胸が締め付けられるように痛くなり、
チリチリとした感情に襲われる。強い信頼関係で結ばれたあの二人の姿はとても綺麗で、
己もそうなりたいと憧れているからなのだろうか。それとも、凛のようにアーチャーを
満足に維持させてやる事が出来ない焦燥感に苛まれているのだろうか。
よくわからない黒いものが心の中に溢れて来るようで、士郎はこういう時の自分が好きではない。
些細な事に感情のコントロールを失う事に自己嫌悪していると、セイバーがそっと手に触れて来る。
「シロウ?」
「えっ…ああ、何?」
自己の内部に意識を集中していたせいで反応が遅れ、セイバーの呼び掛けに思わずビクリとする。
「あまりにもじっと湯呑みをみつめていたので…何かあったのかと」
こちらを気遣うセイバーに、彼女にまで心配を掛けさせてしまった未熟な己を心中で憎みつつ、にっこりと微笑みを返す。
「いや……ただ今日が中華なら、明日の献立どうするかな〜って考えてたんだ」
「そうなのですか?難しい顔をしていたので何か辛い事でもあったのかと」
本心からそう言ってくれる優しさが嬉しくて、士郎は泣きそうな気持ちを抑え笑みを深める。
「あはは、心配させて悪い。けど、そんなのじゃないよ…でも有難うな、セイバー」
「ま〜たそうやって二人の世界を作る〜」
料理を運んで来た凛が恨めしそうに言いながら皿を置く。
「私のサーヴァントを口説こうったってそうはいかないわよ、士郎」
「な、何でさ!!そ、そんなんじゃないって!!」
あかいあくまがチラリと見え隠れするように不敵な笑みを浮かべる凛の発言に、頬を染めながら必死で弁解するのを、
遅れて凛よりも沢山の皿を持ってきたアーチャーが、胡乱げに視線を寄越して溜息を洩らす。
「ほら、アンタのサーヴァントが不満そうよ?あ〜あ〜可哀想に〜」
「ちっ……違うって言ってるだろ!!」
もはやあかいあくま全開な凛は意地悪げに士郎を弄りつつ、その表情は非常に楽しそうだ。
それを見て思わず噴き出しているセイバーとは反対に、アーチャーの表情はどんどんと機嫌を下降させていく。
「………私は蚊帳の外かね」
「うっわ、ごめんアーチャー!!」
凛とのやりとりに夢中になり、大量の皿を抱えたまま不機嫌そうに仁王立ちするアーチャーに気付いていなかった士郎は、
その姿に驚いて、慌てて皿を受け取って机に移動させる。
「別に構わんさ、お前は私よりセイバーの方を頼りにしているらしいからな」
「あーもう!!お前まで!!だから違うってば!!」
相変わらずムスリと拗ねた様子でいるアーチャーに、凛とセイバーは顔を見合わせるとクスクス笑い出すが、
当の士郎はどうしたらアーチャーの機嫌を戻せるかと困惑気味だ。
「はいはい冗談はこれくらいにして、サッサと食べないと冷めちゃうわ、夕食にしましょ」
To be continued...
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漫画 バレンイタイン・キッス サンプル
※各シーンを切り貼りして掲載しています。
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漫画にはセイバー/凛/桜/ライダー/ランサーなどが出て来てます。
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